「先月からアクセスが急に落ちた」という本格的な相談が増えたのは、2025年の春ごろ(3~4月)のことです。
原因を調べると、ほぼ全員のケースでAIO(AIによる概要)の影響が見えてきました。コンテンツの質が下がったわけでも、ペナルティを受けたわけでもない。ただ、検索結果の上にAIの回答が出てきて、ユーザーがそこで完結するようになっただけ。
AIO対策の文脈では「引用」と「言及」がよく混同されますが、企業にとって本当に価値があるのは後者=言及です。
この記事の結論
AIO対策のゴールは「コンテンツが引用される」ことではなく、AIの回答の中で自社ブランドが言及されることです。そのために必要なのは次の5つです。
- 問いへの直接回答構造:見出し直下に1〜2文で答えを置く(LLMのパッセージ抽出に合わせる)
- 一次情報・独自データ:他サイトが引用したくなる「元ネタ」を作る
- FAQの設置:LLMが最も扱いやすい「問いと答えの最小単位」を用意する
- 構造化マークアップ:Googleがコンテンツの意味をパースする精度を上げる
- 外部言及の蓄積:被リンク・メディア掲載・SNS発信でブランドの文脈を広げる
業界でよく言われている「一次情報を入れましょう」「FAQを置きましょう」には、多くの記事が理由を書いていません。以下では「LLMがなぜそれを好むのか」の視点から、その「なぜ」に踏み込みます。
AIO(AIによる概要)とは何か?まず基本を押さえる
AIOは、Googleが2024年5月に正式展開した機能です。ユーザーの検索クエリに対して、AIが複数のWebページを参照しながら要約回答を生成し、検索結果の最上部に表示します。日本語では「AIによる概要」と表示されます。技術的にはGoogleのGeminiモデルが動いています(Google公式ブログ)。
従来のGoogleは「どのページが最も関連性が高いか」をランキングして並べるだけでした。AIOはそこから一歩進み、ユーザーが求める回答を直接生成します。
”勝ち筋”は見えていますか?
Question 1/5
Q1.
競合と自社の「差分」や「立ち位置」を、
毎月定量的に把握できていますか?
AIOが表示されやすい検索はどんなもの?
- 「〇〇とは」「〇〇の方法」「〇〇のおすすめ」などの情報収集型クエリ
- 複数ページを横断しないと答えが揃わない複合的な質問
- 8語以上の長いクエリ(BrightEdgeの調査では、長文クエリへのAIO表示が100%増加)
逆に、最新ニュース・ローカル検索・医療診断・法的判断など、AIが断言するリスクが高い領域では表示を抑制する傾向があります。GoogleはこれをYMWL(Your Money Your Life)コンテンツとして明示しています(Google Search Central: Creating helpful content)。
AIO・LLMO・GEOは何が違う?混同しやすい3つの用語を整理
AIO対策はLLMO対策の一部です。ただし、AIエンジンごとにブランドの扱い方が大きく異なることがBrightEdgeの調査で明らかになっています。
| 用語 | 正式名称 | 対象 |
|---|---|---|
| AIO | AI Overview Optimization | GoogleのAI Overview(AIによる概要)への最適化 |
| LLMO | Large Language Model Optimization | ChatGPT・Gemini・Perplexityなど、LLM全般への最適化 |
| GEO | Generative Engine Optimization | 生成AIエンジン全体への最適化(LLMOとほぼ同義で使われることも多い) |
Google AIOとChatGPTとAI Modeは、ブランド推薦の62%で異なる結果を出すという報告があります(Search Engine Journal, 2025年8月)。
つまり「Google AIOで言及されている=ChatGPTでも言及されている」とは限りません。本記事ではGoogle AIOにフォーカスしますが、後述する対策手法の多くはLLMO全般に有効です。
なお、「引用」はコンテンツが評価された結果であり、言及はブランドが認知された結果です。AIO対策の最終ゴールは「引用されること」ではなく、AIの回答の中で自社名が出てくること(=言及)だと捉えてください。
| 用語 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|
| 引用(Citation) | AIOがコンテンツのURLをソースとして参照・リンクすること。コンテンツ側の評価 | AIOの回答下部に「出典:wakudori.co.jp」と表示される |
| 言及(Mention) | AIの回答文中に会社名・サービス名が登場すること。ブランド側の評価 | 「LLMO対策なら株式会社ワクドリのようなAI特化の会社に相談するのが有効です」と回答される |

なお、AIOの引用は、さほど難しくありません。当社のように設立3か月目のドメインでも、コンテンツをしっかりと磨き上げWebサイト外でも話題になったりすれば引用される確率は高くなります。しかし、上記画像の赤枠に掲載されたからと言って、ユーザーがクリックすることは稀だと考えています(計測手法がないので個人的な検索体験の感想の域を出ませんが・・・)。
目指すべきは、言及であって、引用はその手段のひとつに過ぎません。
数字で見るAIO:いま何が起きているのか
「AIOはまだ様子見でいい」と思っている方に、まず現実を数字で確認してほしいです。ただし、数字を見た後に「だから今すぐ急いでやるべき」という話にはなりません。焦る前に知っておくべき事実が、もう一段あります。
まず、起きていることの数字の把握
- AIOの表示頻度:
- 2024年5月の約30%から2026年初頭には約48%へ成長。トラッキング対象クエリの約半数でAIOが表示されるようになっています(BrightEdge 1年間の追跡調査)。
- AIOの占有面積
- 平均1,200ピクセル超。標準的なデスクトップ画面(約900px)を完全に超え、通常の検索結果はスクロールしないと見えません(同調査)。
- AIO引用とSEO順位の関係
- AIOで引用されているURLのうち、オーガニック検索トップ10にも入っているのはわずか約17%。つまりSEO1位でも自動的にAIOに出るわけではなく、逆に検索1ページ目に出ていなくてもAIOに引用される可能性があります(同調査)。
- 言及と引用の乖離
- ChatGPTはブランドを言及する頻度が引用の3倍。Google AIOは1クエリあたり平均6.02件のブランドを言及するのに対し、ChatGPTは2.37件(BrightEdge: How AI Engines Choose Brands)。
個人的に最も重要だと思うのは「17%」の数字です。SEOをしっかりやっていれば自然にAIOにも入るだろうという前提が崩れています。
ただし、今すぐ慌てて対策する必要はない側面もあり
ここまで読むと「すぐに対策しなければ」と焦るかもしれませんが、冷静に見ておくべき数字が別にあります。
AI検索からのトラフィックは、現時点で全体の1%前後です。
さらに根本的な問題として、2026年3月時点では、引用されたか言及されたかを正確に計測する手段がありません。ChatGPTのAIブラウザからのアクセスはGA4上で「Direct(直接流入)」に分類され、GoogleのAIOからのクリックは通常のオーガニック検索と区別がつきません。計測できないものに対して多額の投資判断をするのは、経営判断として慎重であるべきです。
この点については、「LLMO・AIO対策に、今すぐ何百万円も突っ込むべき?」で詳しく書いています。
「やった方がいいに決まっているが、今の自社の状況で何番目にやるべきか」・・・この問いを持ちながら以下を読んでください。
なぜ今、AIO対策が重要なのか
検索のファーストビューで「言及」される
AIOは検索結果ページの最上部に表示されます。ユーザーの目線が最初に向かう場所です。ここでAIの回答文中に自社名・サービス名が登場すること(言及)は、1位表示以上の信頼感をユーザーに与えることがあります。「自分で検索して調べた」のではなく「AIが教えてくれた」という受け取られ方になるためです。
ゼロクリック化への現実的な対抗手段になる
AIOが表示されると、ユーザーはそこで満足して通常の検索結果をクリックしなくなります(ゼロクリック)。BrightEdgeの調査では、AIO表示時にインプレッションが49%増加したにもかかわらず、クリック数は同水準を維持できなかったと報告されています。これは流入という観点ではネガティブですが、その回答の中で自社が名前で言及されていれば、クリックされなくても認知と信頼は積み上がります。「〇〇について調べたらワクドリという会社が出てきた」という体験が指名検索につながるからです。
ChatGPT・Perplexityとの一貫した対策になる
AIO対策として取り組むコンテンツの質・構造・外部言及の整備は、ChatGPTやPerplexityへの言及獲得にも直結します。各AIエンジンで推薦ブランドが62%異なるということは、裏を返せば「コンテンツ品質を上げれば複数のAIエンジンで同時に言及される可能性がある」ということでもあります。
AIOに表示されるには?押さえるべき4つの条件と「なぜ」の理由
業界では「一次情報を入れましょう」「FAQを置きましょう」「構造化データを実装しましょう」とよく言われます。
ただ、なぜそれが有効なのかを説明している記事はほとんどありません。LLMの動作原理から考察します。
条件① 問いへの直接回答がある
AIOは複数のページからパッセージ(段落・文章の断片)を抽出して回答を組み立てます。このパッセージ抽出の仕組みは、Googleの特許(US10922356)に記述されており、各テキスト断片が独立した意味単位として評価されます。
AIOがパッセージを抽出する際、「この段落だけで質問に答えているか」が判定基準のひとつになっていると考えられます。見出しの直下に一文で答えが書かれている構造は、そのまま独立した意味単位として機能します。「詳しくは後述します」という書き方は、パッセージとして自己完結しないため抽出されにくいです。
結論を後回しにする書き方は、AIOとの相性が構造的に悪いのです。
条件② 一次情報・独自データがある
LLMのトレーニングデータでは「多くのサイトが引用している元ネタ」が繰り返し登場します。たとえばある調査データを10のサイトが引用しているなら、そのデータの出典元は10倍の頻度でトレーニングデータに含まれています。つまり、自社コンテンツが他サイトに引用される「一次情報」になることが、LLMの重みづけを高める最短経路です。
一次情報とは何も大規模な調査でなくて良いんです。「自社クライアントでやった結果○○だった」「担当者として毎日見ている現場の肌感」でも、他社が書けない情報であれば十分に差別化できます。
- 自社クライアントへの施策結果(数値化できるもの)
- 業界内でのアンケート・調査データ
- 専門家としての独自見解・考察
- 「よくある相談」を担当者目線で回答したもの
条件③ FAQセクションがある
LLMはトレーニングの過程でQ&A形式のテキストを大量に学習しています。質問と回答がセットになった構造は、LLMがパッセージを抽出・引用する際の「最小意味単位」にそのままマッチします。また、AIOはRAG(検索拡張生成)によってリアルタイムでWebを参照しますが、RAGのベクトル検索においてもQ&A構造は意味的な類似性が高くなりやすい。FAQが「引用されやすい」のは偶然ではなく、LLMの処理構造に適合しているからです。
FAQの質問文は、ユーザーが実際に検索・入力するプロンプト型の問いにすることが重要です。「FAQとは何ですか?」ではなく「FAQを置くとなぜAIOに表示されやすくなるのですか?」のような形式です。
条件④ 構造化マークアップが実装されている
Googleのクローラーは通常のテキストだけではコンテンツの「意味」を完全にパースできません。schema.orgの構造化データを実装することで、このコンテンツが「FAQ」であること、「HowTo手順」であること、「組織情報」であることを機械可読な形式で伝えられます。AIOを含むLLMベースの検索では、このセマンティック解釈の精度がパッセージ抽出の質を左右します。Googleは構造化データの活用を公式に推奨しています(Google: 構造化データの仕組み)。
特にFAQPageスキーマとOrganizationスキーマは優先度が高いです。前者はパッセージ抽出の精度向上、後者は「このサイトは誰が運営しているのか」をGoogleに明示するE-E-A-T観点の基盤になります。
AIO対策はどう進める?実務担当者向け6ステップ
ステップ1:ターゲットキーワードでAIOが出ているか確認する
まず現状把握です。自社が狙っているキーワードでGoogleを検索し、AIOが出ているかどうかを確認します。AIOが出ていないキーワードはそもそも対策対象になりません。AIOが表示されていて、そこで競合他社の名前が言及されているキーワードを優先的に対策します。
ステップ2:「問いと答え」の構造で記事を書き直す
各H2・H3の直下に、その見出しの問いに対する一文の直接回答を置く構造に変えます。
SEOとAIOの違い SEOは検索エンジン最適化の略で、Googleなどの検索エンジンで上位表示を目指すための施策です。一方でAIOは…(長い説明が続く)
SEOとAIOの違い SEOは「検索結果での上位表示」を目的とし、AIOは「AI回答での言及・ブランド認知」を目的とする点が最大の違いです。 詳しく解説すると…(以下補足)
ステップ3:一次情報・独自データを加える
条件②で述べた通り、他サイトに引用される「元ネタ」を作ることが目標です。大規模な調査でなくても、担当者目線の現場データや実体験が有効です。
例えば、当社が調査した「言及」において、SEOで11位以下であってもAIに言及・推薦されるケースは73.5%も発生しています。

Main:該当キーワードで検索し、AI OverViewsのAIO結果でブランド言及された割合
PAA:該当キーワードで検索し、関連する質問ブロック内のAIO結果でブランド言及された割合
上記は、GoogleのAI OverViewsにて言及される公式サイトが、打ち込まれた検索キーワードにおけるSEO順位を当社独自に比較したものです。
ステップ4:FAQセクションを記事末尾に設置する
記事の末尾に「よくある質問(FAQ)」のセクションを追加し、schema.orgのFAQPageマークアップを実装します。質問文はユーザーが実際に入力するプロンプト型の問いにします。
ステップ5:著者情報をサイト全体に整備する
AIOでコンテンツが参照され、やがてブランドとして言及されるためには、コンテンツの書き手が「信頼できる人物・組織」であることをGoogleが認識できる状態にする必要があります。最低限整備すべき著者情報は以下の4点です。
- 著者プロフィールページ:氏名・役職・専門領域・経歴・保有資格
- 記事への著者リンク:各記事から著者プロフィールへの内部リンク
- Organizationスキーマ:会社名・URL・連絡先・SNSアカウントの構造化データ(Google公式:Organizationスキーマ)
- 外部での言及実績:他メディアへの寄稿・インタビュー記事など
ステップ6:被リンク・外部言及を増やす
AIOはコンテンツの質だけでなく、他のサイトからどれだけ参照・言及されているかも評価します。BrightEdgeの調査では、権威性の高いドメインは引用の安定性が70倍高いという結果が出ています。新設ドメインでも、以下の方法で外部言及を積み上げることができます。
- プレスリリースの配信(PR TIMES等)
- 業界メディアへの寄稿・コメント提供
- SNSでの専門的な発信(X・LinkedIn)
- Googleビジネスプロフィールの整備
AIOへの表示はどうやって確認・計測する?
方法1:シークレットモードで直接検索して確認する
ターゲットキーワードを実際にGoogle検索して目視確認します。AIOの表示はユーザーの検索履歴・デバイス・地域によって変わることがあるため、シークレットモードでの確認も合わせて行うことを推奨します。
確認すべきポイントは2つです。
- コンテンツの引用:AIOの出典欄に自社URLが表示されているか
- ブランドの言及:AIOの回答文中に自社名・サービス名が登場しているか
方法2:Google Search Consoleで「AIによる概要」フィルタを使う
Google Search Consoleの「検索パフォーマンス」→「検索タイプ」→「AIによる概要」フィルタで、コンテンツが引用されたクエリと表示回数を確認できます(Google Search Console)。ただしこれは「引用」の確認手段であり、回答文中での「言及」の確認は目視が現状最も確実です。
方法3:サードパーティツールで継続監視する
- SE Ranking:AIO表示の有無をキーワード単位でトラッキングできる
- Semrush:AI Overviewの表示状況モニタリング機能あり
- Ahrefs:SERPフィーチャーとしてAI Overviewの有無を確認可能
AIOに表示されないのはなぜ?原因別トラブルシューティング
原因①:コンテンツがAIOの対象ジャンル外
医療・法律・金融系のYMYLコンテンツはAIOが慎重になる傾向があります。この場合は対策よりもLLMO全体の戦略にシフトする方が現実的です。
原因②:コンテンツの構造が読み取りにくい
長い文章が続いて段落分けが少ない、見出しがない記事はAIOがパッセージを抽出しにくい状態です。構造化の見直しを優先してください。
原因③:ドメイン・ページの権威性が低い
当社のような新設ドメイン(2026年3月時点)や被リンクがほぼない状態では、質の高いコンテンツを書いてもコンテンツが参照されるまでに時間がかかります。外部言及を増やす施策と並行して、専門性が伝わるコンテンツを積み上げることが重要です。
ただし、工夫次第ではAIOに言及されることも可能です。


検索ボリュームの大小や地域、検索タイミングによって必ずしも出るわけではないですが、ドメインの力が弱くても、戦略立てて社名を出すことは可能です。
原因④:そもそも、そのキーワードでAIOが表示されていない
対象キーワードでAIOが表示されていない場合は、キーワード選定を見直します。「〇〇とは」「〇〇の方法」「〇〇おすすめ」のような情報収集型クエリに絞って記事を設計し直してください。
まとめ:「言及される会社」になるためのAIO対策
AIO対策のゴールは2層構造です。
- コンテンツとして引用される:AIOがページのURLをソースとして参照する状態
- ブランドとして言及される:AIの回答文中に会社名・サービス名が登場する状態 ← 企業が本当に目指すべきゴール
引用はその手段であり、言及はその結果です。コンテンツが継続的に引用されることで「この分野に詳しい会社」としてAIに認識され、やがて回答の中で名前が出るようになります。
AIO対策はLLMO全体の一部です。ChatGPTやPerplexityなど他のAI検索でも言及されることを目指すLLMO戦略については、こちらの記事も参照してください。

